抄録
実数値コーディングを行った遺伝的アルゴリズム(RcGA: Real-coded Genetic Algorithm)を用いて,劣化過程が不明なボケ画像を復元する新たなブラインド復元法を提案し,実験にてその有効性を確認した.具体的には,劣化ボケ画像を,点広がり関数(PSF: Point Spread Function)で表現できる劣化過程に限定し,その復元フィルターである2次元逆フィルターを,実数値GAにて多点探索する手法である.高次フィルターの実数値係数からなる巨大解空間を効率良く探索する手法の提案と,周波数空間でのスペクトラム特性に着目した評価関数の提案,および,ボケ画像にインパルスノイズが重畳した複合劣化画像に対して,ローリングボール変換と適切なガウス性劣化関数処理を行うことの提案により,実用的な時間内で,ほぼ,劣化前の原画像に近い復元を可能としている.本手法は,劣化過程が不明な復元問題への現実的な解決策を与えるものである.