画像電子学会誌
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31 巻, 4 号
Special issue on Visual Computing
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
論文
  • 小磯 雄一, 天羽 賢一, 望月 義典, 西田 友是
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2002 年31 巻4 号 p. 468-476
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/12/25
    ジャーナル フリー
    3次元CGにおいて仮想空間を表示する場合には,一般的にポリゴンの集合を用いて表現される.この場合,仮想空間をより精細に表現しようとすると,その空間を構成するために必要となるポリゴンの数が増加するため描画速度が低下してしまう.また,そのような膨大なポリゴンデータを,インターネットなどのネットワークを通してダウンロードすると,多くの転送時間がかかることになる.そこで本稿では,これらの問題を解決するために,奥行き情報を含んだテクスチャであるレリーフテクスチャを,遠景ビルボードとして用いることで,データの転送量を抑え,高速に仮想環境をレンダリングすることができるネットワーク上で動作するウォークスルーシステムを提案する.
  • 北原 格, 石川 寛享, 渡辺 真生, 大田 友一
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2002 年31 巻4 号 p. 477-486
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/12/25
    ジャーナル フリー
    近年,コンピュータの処理能力やビデオ機器の発達にともない,3次元空間を多視点から撮影した映像を計算機内部で融合し,自由な視点からの見え方を再現する自由視点映像生成・提示の研究が盛んに行われている.本論文では,大規模空間で行われる動きのあるイベントを対象とし,遠隔地の観察者に対して運動視差の再現が可能な自由視点映像生成・提示方式を提案する.簡単化した3次元形状モデルと実写のテクスチャを用いて自由視点映像生成の計算コストを削減する手法,および,3次元データストリームをネットワーク経由で配信し観察者への提示を行う手法について述べる.建造物の設計時に使われたCADモデルをリアルタイム描画が可能なレベルにまで簡単化し,背景となる静止物体の見え方を生成・提示する.データ配信部と自由視点映像生成・提示部のプロトタイプシステムを構築し,提案方式により遠隔地の動きのあるイベントについて運動視差の再現を行う自由視点映像提示が実現可能であることを示した.
  • 眞鍋 知久, 金田 和文, 山下 英生, 柴林 一郎
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2002 年31 巻4 号 p. 487-495
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/12/25
    ジャーナル フリー
    ラジオシティ法の開発により,相互反射環境下においてフォトリアリスティックな画像を生成することが可能となった.その反面,計算時間は増加し,アニメーション,特に光源の設置位置が移動するシーンでは,光源位置を変更するたびに照度を再計算する必要があり,多大な計算時間がかかる.この問題を解決する手法として,本論文では,光源が通過する地点をサンプリングし,その位置に光源を設置して計算したときの照度分布から等照度線を算出し,その等照度線にワーピング処理を施すことにより,中間位置での光源に対する照度分布を高速に求める手法を提案する.提案手法を室内のモデルに適用し,その有用性を示す.
  • 小笠原 祐治, 村岡 一信, 千葉 則茂
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2002 年31 巻4 号 p. 496-503
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/12/25
    ジャーナル フリー
    自然景観を構成するさまざまな物体や現象をリアルに表現するCG技術の開発がますます重要なテーマとなってきている.苔のCGによる映像生成は,灯篭,飛び石,敷石,石垣などの石材物や地面を含む景観映像の生成において,経年変化や質感表現の観点からひじょうに興味深いテーマでもある.本報告では,苔の生育環境として,日射量,気温,湿度,および土壌(生育媒体)などの要因を考慮して,苔の定性的な生長シミュレーションを行う方法を提案する.
  • 大塚 理恵子, 藤代 一成, 高橋 成雄, 竹島 由里子
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2002 年31 巻4 号 p. 504-513
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/12/25
    ジャーナル フリー
    ボリュームビジュアリゼーションは,3次元ボリュームデータの複雑な内部構造を理解するためのツールとして様々な分野で利用されている.しかし,数値シミュレーションや計測に頻繁に現れる時系列のボリュームデータを効果的に可視化する手法については,ほとんど研究されていない.そのような大規模データに対しては,特徴的な変化をもつ部分時空間をあらかじめ特定することによって効果的に対象に関する知見を得るボリュームデータマイニングの概念の拡張が効果的であると考えられる.そこで本論文では,位相構造を抽出することによって重要な部分ボリュームを特定する先行研究の成果に情報可視化技術を組み合わせ,T-mapとよばれる時系列ボリュームデータマイニング環境を提案する.更に原子衝突シミュレーションから得られた実データを用いて本手法の有効性を検証する.
  • 向山 明夫, 大渕 竜太郎, 高橋 成雄
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2002 年31 巻4 号 p. 514-524
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/12/25
    ジャーナル フリー
    本論文では,3次元ポリゴンメッシュを対象とし,そのメッシュの幾何形状の「低周波」成分をメッシュスペクトルの領域で変更することで透かしを埋め込む手法について述べる.本論文の手法は我々の以前の手法1)に基づくが,以前の手法の持つ2つの問題点を改善した.2つの問題点とは,(1)ポリゴン簡単化などによる頂点接続性の変更で透かしが破壊される,(2)計算コストが高い である.接続性変更に対する耐性は,取り出し対象メッシュの幾何形状を元メッシュの接続性でリサンプルして実現した.計算コストの低減は,メッシュを複数の互いに非連結な部分メッシュ領域に分割し,その部分メッシュのみに透かしを入れることで実現した.新たな手法で得られた透かしは,我々の以前の手法による透かしと同様,メッシュスムージング,部分切り取り,ノイズの重畳,などにある程度の耐性を持つのに加え,より広いクラスの攻撃に対して耐性を持つ.例えば,新たな手法で得られた透かしは,頂点接続性変更,相似変換,部分切り取りを組み合わせた複合攻撃に対してもある程度の耐性を持つ.また,より大きなメッシュ,例えば数万頂点よりなるメッシュに対しても透かしを埋め込めるようになった.実験の結果,例えば,66kポリゴンのメッシュに透かしを入れた後,同メッシュを半分以下のポリゴン数に簡単化し,部分的に切り取り,更に相似変換を加えた結果のメッシュからも透かしを取り出すことができた.
  • 磯 大輔, 斎藤 英雄, 小沢 慎治
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2002 年31 巻4 号 p. 525-533
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/12/25
    ジャーナル フリー
    本論文において,対象物体の多視点画像を撮影しながらその物体の任意視点画像を描画するシステムを提案する.我々のシステムは4台のステレオカメラと撮影用PC4台,統合用PC1台の計5台のPCから成り立つ.4台のカメラはそれぞれが1台のPCと接続されており対象物体の撮影及びシルエット検出を行う.本システムではカラー画像と視差画像を用いてシルエット検出を行う.4台のPCと統合用PCはLANによって接続されており,撮影された画像とシルエット画像が転送され,シルエット法により対象物体の形状を復元する.本システムでは計算量削減のためOctreeをデータ構造として用いる.さらに,木構造の親にあたる情報を一時的に保持するスタックを参照することで,Octree生成アルゴリズムの計算量をさらに削減する.物体形状復元後,復元物体表面Voxelを着色して任意視点を描画する.これらのアルゴリズムにより,我々のシステムは毎秒約3~5フレームの描画速度を実現することができる.
  • 中村 真吾, 青木 義満, 橋本 周司, 畑 浩二
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2002 年31 巻4 号 p. 534-541
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/12/25
    ジャーナル フリー
    近年CCD素子の高精度化に伴い,多くの分野において定量的な画像計測にも画像処理の応用範囲が拡大してきた.しかしながら,カメラレンズによる歪曲収差やカメラの撮影姿勢などの原因により計測誤差が生じ,高精度な画像計測を行う場合にはこれらの誤差原因を無視することはできない.本論文では,ディジタル画像からカメラ固有のレンズ収差パラメータを取得し,その結果から画像補正を行う方法,および補正によって高精度に計測する方法を述べる.実験ではCCD素子数が600万画素を超えるものを用い,提案手法によってカメラレンズの歪曲収差及び,カメラ姿勢による画像の歪みを補正した.その結果,カメラの画角に対して約0.04%の精度で計測することができた. また,本手法によってディジタル画像がサブピクセルオーダでどれだけの空間分解能を示すかを実験的に検証した結果,ディジタル分解能の4倍以上の空間分解能があることが判った.
  • 加藤 隆広, 小林 明英, 長谷 博行, 酒井 充, 米田 政明
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2002 年31 巻4 号 p. 542-552
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/12/25
    ジャーナル フリー
    本論文ではITSにおけるドライバー支援の1つである道路案内標識の認識・理解システムを構築する上で不可欠な標識中の矢印と文字領域の対応付け手法について検討を行った.案内標識には方向を示す矢印と方面・距離を示す文字とが記載されている.本手法では,まず矢印をその形状に着目し抽出する.次に,矢印オブジェクト数と矢先の数による大分類と矢先の方向による小分類を行う.その後,矢先の位置情報などを用いて標識内を領域分割することにより,矢印と文字領域の対応付けを行う.デジタルビデオカメラで撮影した標識のズーム画像65枚を用いて実験を行った結果,標識中の矢先154個は全て抽出でき,その方向も正しく認識できた.矢印と文字領域の対応付けでは62枚が成功し,標識の画像認識・理解システムを構築する上で,本手法の有効性が確認された.
  • 片渕 典史, 田中 弘一, 大原 秀一, 佐野 睦夫, 奥平 雅士
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2002 年31 巻4 号 p. 553-562
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/12/25
    ジャーナル フリー
    工業部品の外観検査や寸法計測において,良品・不良品の形態にばらつきがあっても規準画像とのマッチングや良否判定検査等を高速かつ高精度に行う画像検査・計測装置を開発した.本装置では,新技術のパラメトリックテンプレート法による高速サブピクセルパターンマッチング機能,ロバストな識別機能,優れた操作性などを実現した.本システムを用いれば,汎用のパソコンと市販の画像入力ボードの組み合わせで安価なコストで検査アプリケーションを構築でき,検査員による検査ミスや見落としを削減することが可能となる.
論文
  • 西門 秀人, 村田 博幸, 山路 元進, 山内 寛紀
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2002 年31 巻4 号 p. 566-574
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/12/25
    ジャーナル フリー
    実数値コーディングを行った遺伝的アルゴリズム(RcGA: Real-coded Genetic Algorithm)を用いて,劣化過程が不明なボケ画像を復元する新たなブラインド復元法を提案し,実験にてその有効性を確認した.具体的には,劣化ボケ画像を,点広がり関数(PSF: Point Spread Function)で表現できる劣化過程に限定し,その復元フィルターである2次元逆フィルターを,実数値GAにて多点探索する手法である.高次フィルターの実数値係数からなる巨大解空間を効率良く探索する手法の提案と,周波数空間でのスペクトラム特性に着目した評価関数の提案,および,ボケ画像にインパルスノイズが重畳した複合劣化画像に対して,ローリングボール変換と適切なガウス性劣化関数処理を行うことの提案により,実用的な時間内で,ほぼ,劣化前の原画像に近い復元を可能としている.本手法は,劣化過程が不明な復元問題への現実的な解決策を与えるものである.
  • 伊奈 諭, 田畑 孝一
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2002 年31 巻4 号 p. 575-583
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/12/25
    ジャーナル フリー
    両眼視による外界の見え方を客観的に明らかにするために,両眼視のシミュレーションモデルを構築し,代表的な視方向錯視現象への適用実験を行った.モデル構築にあたり,?両眼の幾何学的構造,眼球のレンズ特性および網膜感度特性を模倣できること,?両眼視点の位置はまず両眼の中点(サイクロープスの眼)の位置を基準に決定されること,?両眼からの各入力画像は脳内においても(トポロジー的に)保存されるため注視点を基準に重ね合わされ最終的に一つの画像として統合知覚されること,の三つの仮定を用いた.これにより両眼視点の一意的な決定の下に,被写界深度による遠近ボケや両眼による複視を伴った視覚現象を客観的に再現可視化できるようになった.また視覚心理学の分野でよく知られた四つの視方向錯視現象に本システムを適用した結果,“Wells-Heringの視方向の法則”に基づく心理物理実験の報告を満足する結果が得られた.本システムは上記の三つの仮定を実装したのみの単純な光学ベースのモデルである.こうした単純な光学的モデルではとても再現説明できないような両眼視錯視現象も無数に存在するものと予想される一方で,このような単純なモデルでも再現説明ができる錯視現象も確かに存在することを明示できた.このように,計算機シミュレーションの利点は,視器官による光学的な現象と脳機能(脳神経)の上位計算理論モデルの関与によって発現すると予想されるような現象とを分離独立して客観的な結果として個別提示できることにある.最後に,実験結果を基にして,提示した両眼視モデルの位置付けと限界および上位認知機構との関係,計算機シミュレーションの意義,今後の発展課題などについて議論を行った.
  • 中静 真, 北村 拓雄
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2002 年31 巻4 号 p. 584-593
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/12/25
    ジャーナル フリー
    本論文では,2値画像へのデータ埋め込みを実現するための誤差拡散法を提案している.提案法は,誤差拡散法に基づき濃淡自然画像を2値化する過程で,データ埋め込みを実現する.提案法では,画像全体を2×2のブロックに分割し,それぞれのブロックに対して,前もって用意した2値パターンを選択することで量子化を実現する.パターンの選択では,誤差拡散法を画像ブロック単位で実現する方法を提案し,ブロック単位で量子化誤差最小となるパターンを選択する.データ埋め込みは,選択できる2値パターンの集合を,画像ブロック毎に埋め込みデータによって変更することで実現している.2×2の2値パターンは,全部で16個あるが,これを複数個にグループ分けすることで,ブロックあたり2値から8値までのデータを埋め込むことができる.実験では,直接2値データを画像中に埋め込んで誤差拡散を行う方法と,埋め込みデータ量と2値画像の品質について比較し,有効性を確認している.
  • 木村 義政, 鈴木 章, 小高 和己
    原稿種別: 論文
    専門分野: エレクトロニクス
    2002 年31 巻4 号 p. 594-603
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/12/25
    ジャーナル フリー
    本論文では,実用的な楷書体認識アルゴリズムの開発を目的として,続け字が生じるストローク列の優先度管理規則と同時生起規則とを用いたストローク結合情報の設定法を提案する.本手法は,結合ストローク列を続け字が生じる頻度別に予め定められたレベルに分類しておき,上位レベルに属する結合ストローク列から頻度の降順に所定の画数までこれらを結合して続け字標準パターンを作成する優先度管理規則を導入する.このとき,最上位レベルに属する結合ストローク列を複数種類含むカテゴリーに対しては,これらが全て生じる続け字標準パターンのみ生成する同時生起規則を適用する.これらにより,不要な続け字標準パターンの生成が阻止できるほか,ストローク結合情報の自動作成が可能となる.楷書体で書かれた常用漢字の認識に適用し,他手法よりも少ないストローク結合情報で実用的な正読率が得られ,本手法の有効性が確かめられた.
  • Kaoru KOHZU, Kazuhisa TAKETOSHI
    原稿種別: Contributed Papers
    専門分野: electronics
    2002 年31 巻4 号 p. 604-608
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/12/25
    ジャーナル フリー
    We developed a half-open dual-dome screen (HODDS) system and evaluated the images. The algorithm for calculating the parameters of the HODDS system is shown. The stereographic resolution for the depth is measured as 16.27 chains/dome diameter, whereas that for the horizontal is 45.12 chains/dome diameter. The information entropy in HODD-type is measured; the entropies for the HODDS and a flat screen are 6.989 and 8.593, respectively. Easily comprehensible expressions for amorphous materials are shown in the form of molecular shapes and dihedral angles.
連載技術解説
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