抄録
走査型電子顕微鏡での環境において,観察される二次元濃淡画像をもとに対象物の三次元形状を復元可能な技術が必要とされている.走査型電子顕微鏡では観測画像を得る際に試料台をある程度回転させることができるが,本論文ではこの原理を利用して,回転の前後で撮影された2枚の濃淡画像から物体の形状を復元する手法について述べる.本論文では,形状を復元するためにホップフィールド型ニューラルネットワークを用いて標準正則化理論に基づいたエネルギー関数最適化の手法を提案する.最適化を行う際には,最適解に近い初期ベクトルを与えることが重要である.そこで,物体の回転前後の画像から適切な初期ベクトルを作成する方法を導入する.コンピュータシミュレーションによって提案手法の復元精度を確認するとともに,SEM画像を対象として実験を行った結果について考察する.