抄録
インターネットやWAN (Wide Area Network) などの広域なディジタル通信網の整備は,付加価値の高い電子情報をいつでもどこでも入手し,利用できる社会を実現しつつある.情報を広域に分散配置する情報分散システムは,情報資源の有効活用などの観点から優れており,膨大な情報を効率よく管理できるものとして実用化されている.本論文は,情報分散システムに冗長化の概念を導入することより,情報の著作権や利用権を管理する方式を提案し,その特性に関する考察を示したものである.提案方式は,情報復元に用いる分割情報の組とその処理過程を利用して,情報開示状態の制御や利用者識別を容易に実現できるものである.その利用者識別能力は,情報復元過程に分割情報を重畳させる情報交叉の概念を導入することにより大幅に向上できる.