医療と社会
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21世紀国際化時代へ向けた「プロ」医師の育成
黒川 清
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2001 年 10 巻 4 号 p. 41-50

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抄録
21世紀を迎え「日本」のあり方は大きな変換を求められている。それはなぜか。特に国際的に共通の価値をつくり出す分野である高等教育,医学教育と研修,医療,研究,金融,企業等では「国際的」標準での内容と実力がない限り,世界の主流から取り残されていくであろう。交通と情報の国際化の時代にあって,世界の人々がそれらの国の医療,研究,高等教育等の分野での世界標準を知るようになれば当然それらを求めるようになる。従来の「日本」を支えたシステムはこれからの国際時代の要請にあうのか。この10年の日本をかこむ状況は,「お上たのみ」「護送船団」「終身雇用」「年功序列」の限界を示し,「Japan Inc」がもはや機能しないことを示している。このような時にあって,医学教育も医師の研修も同じ問題を抱えている。その背景には日本に特徴的で根本的な問題があるのだが,残念ながら,多くの日本の「リーダー」にはそれが理解できない。その理由はなにか。日本を囲むアジアの状況と近代日本の歴史の背景を考察しながら,21世紀に日本がめざす医学教育と医師研修のあり方を探る。
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