抄録
本研究では、特別支援学校高等部の現場実習における教員のフィードバックの取組や課題意識について明らかにし、現場実習の効果的なフィードバックの在り方について検討する。そのため、秋田県内全ての特別支援学校15校(分校3校含む)に勤務する高等部教員を対象とした質問紙調査を実施した。その結果、現場実習のフィードバックにおける取組に関する調査では、教員は生徒の進路実現に向け、生徒のキャリア形成に応じた現場実習のねらいを設定し、フィードバック場面でそのねらいに沿った支援を行っていることが明らかとなった。また、現場実習のフィードバックにおける教員の意識に関する調査では、教員は生徒の自己理解を促進させることを意識し、理想と現実の差を埋めるために現場実習先からの客観的な評価を大切にしていることが明らかとなった。これらから、現場実習の効果的なフィードバックの在り方として、生徒本人の主体的な進路選択と社会参加を目指し、生徒のキャリア形成段階に応じながら自己理解を促進させていく取組が重要であると考えられた。