2023 年 12 巻 p. 105-117
世界各国においても乳幼児期における数に関する経験は、好奇心、想像力、柔軟性、発明、粘り強さなどの性質を開発するのに役立つとされている。特に、数感覚においては、量関係を直感的に理解する能力が求められていることから、幼児期に数量に関心を持てるような環境を作り、遊びの中で数量について学び、数量についての関心をその後も持ち続けられるような 環境を周りの大人が作っていくことが大切である。本研究では、「カウント」、「図形」、「数量」のうちの「数量」に関する教育実践を行った。山口県内の保育園に在籍する幼児7名を対象に、CRAYON BOOKの数概念の観点を取り入れた数量に関する教育実践と、保育士の働きかけや日常的な環境構成なども含めた数量の認識を促すことを意識した教育実践を行った。その結果、当初、重さ、軽さの比較ができなかった子どもも、荷物を持った時に「重たい」と言葉で表現する様子が見られるようになり、重さの違いは分かっていても言葉で表現することが難しかった子は、重さを言葉として使う姿が見られるよう等などの行動変容がみられた。