抄録
通常の学級に在籍するASD傾向の子どもへの社会スキルプログラムを開発するための構成概念の検討を行うために、海外のASD傾向の子どもへ実践報告を分析した。ERIC-Institute of Education Scienceの論文データベースにおいて「ASD social skill」で検索した結果、14件が分析対象となった。主に「伝える能力」の「自分の気持ちを伝える」、「語彙力を身につける」といった実践が多く、「場を整理する能力」の「空間を整理する」に該当する実践報告はなかった。「伝える能力」に関しては、特にビデオモデリングやソーシャルストーリーなどの模倣や汎化といった指導方法が効果的とされる実践が多かったため、今後、プログラム開発の際はそれらの手法を取り入れることが重要であることが示唆された。プログラム実施期間は、それぞれの実践によって異なっていたため、さらに分析を行って適切なプログラム実施期間や頻度を考察することが今後の課題として挙げられた。