抄録
本研究においては、公立小学校の知的障害特別支援学級と自閉症・情緒障害特別支援学級の担任教員を対象として、担任教員が認識している特別支援学級に関わる現状と推移、そして通常学級支援を目的とする弾力的対応の実態について質問紙法による調査を行った。その結果、対象教員の大部分が、在籍児童数、仕事量ともに増加していると認識していることが明らかとなった。また、通常学級に対する自らの支援の必要性は、大多数の特別支援学級担任教員によって認識されており、頻度の差はあるものの7割から8割の者が実際に弾力的対応を実施しており、通常学級担任教員への支援としては「担任教員に対する助言」や「児童の実態把握」が多く、通常学級在籍児童への支援としては「授業中における児童に対する学業面や行動面での個別的支援」が多かった。しかしながら、付加的な時間を必要とする対応、通常学級の児童集団から個別的に切り離して場を設定することを必要とする対応、そして実施の際に保護者や本人の同意を得ることが必要な対応については実施率が低かった。