抄録
Protein Data Bank (PDB)に集積された生体高分子(タンパク質、DNA等)の立体構造情報は、X線回折法やNMR解析によって決定された骨格構造情報が主なものであるが、近年では中性子回折法によって生体高分子の水素、水和構造の原子レベルでの本格的な決定がなされるようになった。水素結合や水和水はタンパク質の安定な立体構造を保つ上で重要な役割を担っているばかりでなく、タンパク質の機能発現やタンパク質同士の分子認識に深く関わっていることが知られている。そこでこれらの情報を統計的に処理し、その結果をわかりやすく表示することができる「生体水素水和水データベース(HHDB)」の構築を行った。このデータベースの構築により、これまで解明されていなかった水素原子や水分子の役割が明らかになる可能性がある。特に水和水はタンパク質に結合する様々な生体分子や医薬品との相互作用に重要な役割を有するので、生命現象の解明や創薬への貢献が期待されている。