抄録
痴呆患者に合併した慢性硬膜下血腫(CSH)の4症例(男性2例, 女性2例)を報告した. 男性2例のうち1例は元々大酒家であり, ほかの1例には頭部打撲の既往がみられた. また, 女性2例にはそれぞれ慢性硬膜下水腫の先行と過去にCSHの既往がみられた. CSHの存在を疑わせた徴候は, 意識障害と四肢の運動障害と失禁であった. これらの徴候は, 痴呆の進行と見誤られやすい. 実際入院中に発症した1例を除き3例は痴呆の進行を心配した家族が受診させたものであった. 痴呆患者の診察においては軽微な臨床症状の変化に気をつけ, 痴呆の進行, 歩行障害, 失禁が新たにみられたときには, 速やかに頭部画像検査(CTまたはMRI)を施行することが重要であると考えられた.