2021 年 60 巻 2 号 p. 134-139
現在,電子写真プロセスの重要デバイスである感光体の大部分を機能分離型負帯電有機感光体が占めている.それに対して京セラドキュメントソリューションズでは,環境配慮,高画質,低コストの観点から,正帯電単層有機感光体を採用してきた.正帯電単層有機感光体は電荷発生領域が感光層表面近傍にあり,潜像形成時の電荷移動距離が短いため,電荷拡散などによる潜像劣化が少ないとされてきた.本報告では,これら2種の有機感光体の潜像プロファイルを静電気力顕微鏡および潜像形成シミュレーションによる解析より,正帯電単層有機感光体が潜像劣化が少なく高解像度化に有利であることを確認した.