日本画像学会誌
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メラニン系構造色を基盤とする次世代インク開発
浦瀬 舞吉岡 大輝桑折 道済
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2021 年 60 巻 5 号 p. 478-485

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抄録

構造色は,周期的な微細構造に光が当たった際に物理的現象により発現する色である.自然界の生物の発色においても構造色はしばしば見られ,これら生物の構造発色においては,メラニンが重要な役割を果たしている.孔雀の羽毛の色は構造色として知られる.羽毛内部にはロッド型メラニン顆粒が周期的に配置された微細構造が存在し,構造色が発現するとともに散乱光を効果的に吸収して,結果として明るい構造色をもたらす.近年,天然メラニンの模倣物質としてポリドーパミンが注目されている.本解説では,ポリドーパミンを素材とする人工メラニン粒子を使用したメラニン系構造色に関する最近の研究動向をまとめた.人工メラニン材料によって実現された視認性の高い構造発色の特徴を生かした,インクやセンサー材料などへの応用展開についても概説する.

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© 2021 一般社団法人 日本画像学会
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