2026 年 65 巻 4 号 p. 382-387
建築やプロダクト分野における大規模な3Dプリントにおいては,最小限の材料で効率的に体積を充填しつつ,自立可能な剛性と適度な柔軟性の両立がしばしば求められる.本研究は,溶融した樹脂を垂らして形成するカテナリーのグリッドを積層する新たな造形手法を提案するものである.この手法は,柔軟構造であるオーゼティックパターンに着想を得て,造形上の制約から縦方向の連結材を省略し,横方向の層のみで全体の柔軟挙動を制御する.本論文では,物理的な検証に先立つ仮説立案として,①射出条件の制御による安定したカテナリー成形,②ユニット間のインターロックによる接合,③ノズル径や密度といったパラメーター制御による柔軟性の調整,という3つの仮説を提示し,3Dモデル上での分析によりその実現可能性を予測する.今後はこれらの仮説の物理的な検証を進め,最終的には椅子など実スケールでの応用を目指す.