2024 年 78 巻 1 号 p. 115-123
最新の映像符号化方式であるH.266 | Versatile Video Coding (VVC) を用いたライブ映像伝送の高度化が期待されている.VVCはH.265 | High Efficiency Video Coding (HEVC) に対して2倍の符号化性能を有するため,たとえば国内ではVVCを用いた地上デジタル放送の4K/8K化が検討されている.しかし,ライブ伝送の実用化にはリアルタイムコーデックが不可欠であり,特にHEVCに対して符号化処理時間が8倍に増加したVVCに対応するリアルタイムエンコーダの実現は容易ではない.そこで,筆者らは世界で初めてVVC対応4K/8Kリアルタイムコーデックを開発し,実IP網上で同コーデックを用いて4K/8K映像をライブ伝送し,VVCによるライブ映像伝送の実現可能性を実証した.本稿では,同コーデックに適用したコア技術と各種評価実験を中心に紹介する.