抄録
将来のエネルギー危機の解決法の一方法として太陽発電衛星(SPS)が期待されているが、SPSを静止衛星軌道(GSO)に打ち上げた場合、GSOには複数の固定衛星業務(FSS)衛星が運用しており、この間の電波干渉が問題となるものと考えられる。太陽発電衛星(SPS)はGSO上に衛星を打ち上げ、発電した電力を、送信周波数:2.45GH、送信電力:6.72GW(98.3dBW)、送信アンテナ寸法:1km×1kmの仕様で地上に伝送する。このとき、地上のFSS地球局、FSS衛星局および固定無線業務(FS)地上局に干渉を与える可能性があり、この評価が必要である。本稿では、基本波の第5高調波(4.9GHz)のFS地上局への干渉、第5高調波(12.25GHz)および第8高調波(19.6GHz)のFSSの下り回線への干渉、第12倍高調波(29.4GHz)のFSS上り回線への干渉を検討し、その干渉評価を行った結果を報告している。検討に必要な干渉計算式について導出している。また、検討の上で重要なパラメータとして、SPSアンテナ高調波特性があるが、パッチアレーアンテナを仮定して干渉計算を行っている。検討の結果、第5高調波(12.25GHz)での干渉条件が最も厳しく、共存のための各種の干渉軽減法を検討し、共存の可能性の見通しを得た結果を報告する。