抄録
光ファイバ通信ケーブル用吊線として用いられている亜鉛被覆鋼撚り線の定尺試験片に種々のレベルの腐食を付与し,試作した渦電流測定計器を用いて非接触で亜鉛の残存平均膜厚と鋼の残存平均断面積を測定し,架線の腐食劣化を非破壊で診断する方法について検討した.その結果,実際の腐食挙動が渦電流特性に及ぼす影響を明らかにした.また,渦電流のX信号(V)と位相(度)を用いて評価することにより,亜鉛の残存膜厚と鋼の残存断面積を精度良く推定できる.また,吊線の腐食速度を別途把握することにより,余寿命評価が可能となる見通しを得た.渦電流を用いた他の応用例として,接触型渦電流法による局所亜鉛膜厚の測定技術や,非接触型渦電流法による内部損傷の検知方法についても紹介する.