草と緑
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外来植物の伝播と生活圏緑地への拡散:その起源と経路を探る
黒川 俊二
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キーワード: 外来植物, 畜産, 輸入飼料, 牧草
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2017 年 9 巻 p. 13-21

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抄録
意図的あるいは非意図的に持ち込まれる外来植物を管理する場面においては,人間活動とその社会的背景が大きく影響する伝播や拡散経路を意識して管理を行う必要がある.本稿では,戦後の畜産物の需要増大を支えるべく高生産性を追い求めてきた現代畜産が原因となって生じている外来植物問題について解説する.戦後の畜産の発展過程では,生産性を上げるために高栄養飼料が必要となり,栄養価の高い外来牧草の意図的導入が行われた.これらの中には逸出して緑地管理場面で雑草問題を引き起こすこともある,また,酪農では高泌乳牛を飼養するためより栄養価の高い飼料が必要となり,輸入穀物を原料とする濃厚飼料を多給する形態に変化した.その結果,輸入穀物に混入する外来雑草の非意図的導入をもたらした.経営体の大規模化も進み,畜産農家は処理しきれないほど多量の家畜糞尿を抱えることとなり,、混入する雑草種子の死滅をもたらす発酵熱が期待できない未熟堆肥を飼料畑に投入せざるを得なくなった.こうして外来植物の侵入量の増大と死滅率の低下が合わさり,飼料畑における外来雑草問題を引き起こした.さらに,山間部で行われる酪農地帯で蔓延したアレチウリなどの外来雑草が,水の流れによってその下流域全域に拡散し,緑地管理場面などにも影響を与えることとなっている.
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© 2017 特定非営利活動法人緑地雑草科学研究所

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https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja
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