2018 年 39 巻 2 号 p. 210-213
外傷性大動脈損傷は, 致死的損傷の一つであり, 緊急手術を要することが多いとされる。しかしながら, 外傷性大動脈損傷に対し保存的治療にて軽快を得ることも経験しており, 今回, 外傷性大動脈損傷に対する保存的治療の妥当性について調査した。2007年1月~2016年9月の10年間に, 外傷性大動脈損傷と診断され当院に入院となった9例を対象とした。9例のうち, grade II が8例, grade III が1例であった。grade II については6名 (75%) が保存療法にて治療を完遂できた。その他の2例については, 1例は重症頭部外傷により死亡, もう1例は大動脈径の拡大により胸部大動脈ステントグラフト術 (TEVAR) を要したが, 救命に成功した。grade III の1例については, TEVARを施行し救命に成功した。外傷性大動脈損傷grade II に対する保存療法は, 妥当性の高い治療法である可能性がある。