抄録
本研究は、台湾のハンセン病回復者26名へのインタビュー調査をもとに、患者側からみた看護婦や看護ケアの内容について明らかにすることを目的とした。インタビュー調査の結果、患者からみた看護婦として、【感染への恐れを表現する】【特定の場所にいる】【忙しい】【見習い】【近所在住の若い娘】を抽出できた。また、患者が看護婦がやっていたと認識していたことは、【医療に関すること】【診察室の掃除】【薬に関すること】【切断した手足を運ぶ】【何をしているかわからない】であった。看護婦との関係性は、【人間として尊重されない】【物理的距離】などの尊重されていない経験を挙げる一方、【院内ルールの遵守】【子どもへのかかわり】【看護業務外のかかわり】など看護婦による優しいかかわりも多く語られた。ただ対象者が看護婦に求めていたことは【熟練した技術】であった。どの年代でも対象者は、「感染の恐れ=看護婦の服装」と捉え、看護婦は何かをしてくれる人、看護婦はこういうことをする人という明確な認識をもって語る人はいなかった。単に看護婦やっていたことを通して、それが看護婦の仕事と認識しているのが明らかになった。今後、看護婦へのインタビューも実施することで、本調査から得られた知見を補完していくことが可能となる。