医療現場の看護師は、個人の徳(以下 、アレテー) をもっていることが重要である。しかし、医療安全を重視する医療・看護チームの一員として看護師個人が位置づけられることが、“患者にとって善いことを考え、実践する”ことを阻害しているかもしれない。看護実践に美徳の追求は不可欠であり、「患者にとって善いこと」をどの場面でも熟考し、実行することが重要である。透析中の安全確保のための抑制や転倒転落防止のための離床センサーという2 つの仮想事例を本稿では設定したが、安全を最優先することで奪われる患者の権利や、抑制される患者自身の本心から看護師は目を背けてはいけないことを指摘した。看護師個人のアレテーは、臨床現場で提供する看護実践を追求していく中でも発展していく。病院組織がそのことを認識し、看護師が看護の専門性を発揮できる職場環境を形成することが必要であろう。