2020 年 30 巻 1 号 p. 67-77
臨床倫理コンサルテーションは、医療現場で生じた患者個別の倫理的問題に対して助言や支援を行う仕組みである。病院内の中央組織として近年徐々に設置されつつあるが、実際の活動が各施設でどのように行われているのか、どのような問題に対応しているのかについての報告は少ない。本報告では、まず当院での臨床倫理コンサルテーションの活動内容について、2016年8月から2019年5月までの74件の依頼の詳細を示した。次に、少ないながらも報告された国内施設での活動内容をまとめた。最後に臨床倫理コンサルテーションの活動を持続させるために必要な取り得る対応を考察した。日本医療機能評価機構が行っている病院機能評価の受審を契機に臨床倫理コンサルテーションを開始した施設は多いが、その活動を持続させることは現状では経済的に困難である。臨床倫理コンサルテーションの活動を持続させるために、診療報酬を付けることを提案したい。