抄録
互いを衝突のみによって認識できるロボットの集合の集団運動モードと,その物体搬送タスクへの適用のシミュレーション研究を提示する.システムのコスト削減のために,ロボット達は特別な視覚あるいは聴覚や触覚に相当するセンサを有さず,単なる力学的な衝突によってのみ相手を認識できる,と仮定する.同時に物体搬送タスクにあっては,ロボット達は無目的に動き回りつつ対象物体にひんぱんに衝突する,とする.このような仮定条件を,保存力学系におけるビリアル定理を介して統計力学のカノニカル集合の概念と結合し,物体搬送の条件を探索する.この理論はいくつかの例示とともに,シミュレーション検証される.