2020 年 16 巻 p. 1-10
【目的】ICU看護師の痛みに対する鎮痛薬使用の判断基準を明らかにする。
【方法】全国47施設の病院に対しICU看護師を対象に質問紙を送付し鎮痛薬の使用判断をnumeric rating scale(NRS)の数値で調査した。
【結果】返送のあった質問紙185部を分析対象とした。①看護師が鎮痛薬を使用するNRS値は,NRS:3 ~8の間でばらつきを認めた。②痛みの種類という設定では,創部痛は他の痛みと比較して鎮痛薬使用の判断NRS値が低かった(p<0.001)。③ベース鎮痛がある状況という設定では,鎮痛薬の静脈持続投与量の増量は定期鎮痛薬内服中における鎮痛薬の追加と比較して判断NRS値が低かった(p<0.001)。④ICU経験年数で新人・若手・中堅・ベテランの4群に分けたとき,若手は中堅・ベテランと比較して鎮痛薬使用の判断NRS値が高かった(p<0.01)。
【結論】鎮痛薬使用の判断は看護師間でばらついており,さまざまな場面や状況において変化するため,痛みへの介入を見直す必要がある。