日本クリティカルケア看護学会誌
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16 巻
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総説
  • 小倉 久美子, 山田 聡子, 中島 佳緒里
    原稿種別: 総説
    2020 年 16 巻 p. 11-27
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/08/25
    ジャーナル フリー

    【目的】浅い鎮静や鎮静中断によりコミュニケーションの機会が多くなる人工呼吸患者に対する効果的なコミュニケーションを検討するために,人工呼吸患者と看護師のコミュニケーションの困難さと,代替コミュニケーションについて明らかにする.

    【方法】医学中央雑誌,CINAHL,MEDLINE,PubMedで2018年12月~ 2000年1月に発表された17文献を分析した.

    【結果】人工呼吸患者のコミュニケーションの困難さは,意思を伝えることが難しい,情報を受け取れないことであり,看護師はICUの時間制約のなかで,筆談や指文字を正しく読み取れず,メッセージを理解できない困難さがあった.患者-看護師間の代替コミュニケーションについて,クローズドクエスチョンは簡便に使用でき,電子通信デバイスは「痛みのニーズが伝わりやすい」と評価されていた.

    【結論】人工呼吸患者は,情報の提供やフィードバックを求めており,ローテクエイドまたはハイテクエイドのコミュニケーションを活用して患者-看護師間の相互利用を促すことが,人工呼吸患者に対する効果的なコミュニケーションケアにつながると考える.

  • 岩下 絵梨香, 田中 真琴
    原稿種別: 総説
    2020 年 16 巻 p. 114-121
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

     本研究は,エキスパート看護師のICUでの家族支援に関する具体的実践が書かれた文献を収集して整理し,既存の研究の傾向をつかみ,今後求められる研究を検討することを目的とした.PubMed,CINAHL,医学中央雑誌Web版を用いて検索し,選定・除外基準にのっとり文献を選定し,マトリックス方式で整理した.分析対象となった文献は25件であった.家族支援の内容から〈終末期患者の家族支援〉〈緊急性の高い患者の家族支援〉〈興奮や混乱状態にある患者の家族支援〉〈面会時の家族支援〉〈家族を力づける支援〉の5つに大別され,【代理意思決定支援】など10の小分類に整理された.エキスパート看護師の家族支援に関する具体的実践が書かれた文献の蓄積には偏りがあり,〈緊急性の高い患者の家族支援〉を記した文献は少なく,なかでも蘇生時の家族の立ち会いに関しては,エキスパート看護師の支援を明らかにし,実践に向けた研究が必要と考えられた.

原著
  • 上澤 弘美, 中村 美鈴
    原稿種別: 原著
    2020 年 16 巻 p. 41-53
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/11/11
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,生命の危機的状態で初療室に救急搬送された患者の家族がたどる代理意思決定のプロセスを明らかにすることである.研究参加者15名に対して半構造化面接法を実施し,事例-コード・マトリックスを参考に分析を行った.

     分析の結果,生命の危機的状態で初療室に救急搬送された患者の家族がたどる代理意思決定は【突然の出来事に対する衝撃と不安】【記憶を消失するほどの混乱】【さまざまと思い浮かべて患者の意思を推し量る】【困難のなかで決断に向き合わざるを得ない】【成果がみえない患者の姿に気持ちが揺らぐ】【治療結果としての患者の状態に左右される代理意思決定への思い】の6つの概念的カテゴリで構成されていた結果から,看護師は家族の代理意思決定のプロセスを理解し今どの段階にいるのかを見極め,その時点で必要な支援のあり方を創出するなどの看護実践を検討することが示唆された.

  • 渡邉 成美, 金子 あけみ, 松本 和史
    原稿種別: 原著
    2020 年 16 巻 p. 85-93
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,クリティカルケア領域における看護師のワーク・エンゲイジメントと職場サポート(上司),職場サポート(先輩),職場コミュニティ感覚および看護師の自律性の関連を明らかにすることである.クリティカルケア領域(ICU,HCU,CCU,救急外来・救命救急センター)に勤務する2年目以上の看護師262名を対象に横断研究を行った.調査内容は基本属性,ワーク・エンゲイジメント,職場サポート(上司および先輩),職場コミュニティ感覚, 看護師の自律性であった.有効回答は151名(57.6%)であり,ワーク・エンゲイジメントは,一般女性や一般病棟看護師と同レベルであった.重回帰分析によりワーク・エンゲイジメントとの有意な関連を認めた要因は,職場コミュニティ感覚(β=0.28),自律性(β=0.24),既婚(β=0.22)であった.以上より,ワーク・エンゲイジメント得点は職種および部署による差異はなく,クリティカルケア領域において良い人間関係やコミュニケーションを築くこと,役割遂行などの自律性を高める働きかけにより,ワーク・エンゲイジメント向上につながる可能性が示唆された.

研究報告
  • 加藤 直輝, 黒澤 昌洋, 阿部 恵子, 林田 牧人, 山中 真
    原稿種別: 研究報告
    2020 年 16 巻 p. 1-10
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/06/22
    ジャーナル フリー

    【目的】ICU看護師の痛みに対する鎮痛薬使用の判断基準を明らかにする。

    【方法】全国47施設の病院に対しICU看護師を対象に質問紙を送付し鎮痛薬の使用判断をnumeric rating scale(NRS)の数値で調査した。

    【結果】返送のあった質問紙185部を分析対象とした。①看護師が鎮痛薬を使用するNRS値は,NRS:3 ~8の間でばらつきを認めた。②痛みの種類という設定では,創部痛は他の痛みと比較して鎮痛薬使用の判断NRS値が低かった(p<0.001)。③ベース鎮痛がある状況という設定では,鎮痛薬の静脈持続投与量の増量は定期鎮痛薬内服中における鎮痛薬の追加と比較して判断NRS値が低かった(p<0.001)。④ICU経験年数で新人・若手・中堅・ベテランの4群に分けたとき,若手は中堅・ベテランと比較して鎮痛薬使用の判断NRS値が高かった(p<0.01)。

    【結論】鎮痛薬使用の判断は看護師間でばらついており,さまざまな場面や状況において変化するため,痛みへの介入を見直す必要がある。

  • 片山 香, 山口 恵美, 井上 ゆみ, 永井 庸央
    原稿種別: 研究報告
    2020 年 16 巻 p. 28-40
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/09/03
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,集中治療領域における終末期医療に関する医師・看護師の認識を明らかにすることである.医師・看護師各8名を対象に半構成的面接を行い,質的帰納的に分析した.結果,医師の認識として【患者の尊厳を大切にする】【集中治療によい看取りという概念はない】【医療チーム全体で方向性を統一し,それぞれの役割を果たす】など10のカテゴリー,看護師の認識として【患者のその人らしさを大切にする】【家族へのかかわりを大切にする】【医師とのコミュニケーションが取りにくい】など9のカテゴリーが抽出された.医師・看護師ともに,患者の尊厳やその人らしさ,家族へのかかわりを大切にするという専門的価値を実践の核と認識していた.しかし,【DNARの意味を自分なりに認識している】ことと,医療チーム内でのコミュニケーションのあり方が影響して,医師・看護師ともに認識のずれを感じていた.

  • 大山 祐介, 永田 明, 山勢 博彰
    原稿種別: 研究報告
    2020 年 16 巻 p. 54-64
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/11/21
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,急性・重症患者看護専門看護師が患者のcomfortに向けたケアにかかわる体験を明らかにすることである.質的記述的研究方法を用いて,急性・重症患者専門看護師11人に半構造化インタビューを行い,帰納的に分析した.その結果,《そもそも苦痛があるなかで,安楽のためのかかわりが十分にできない》《人としてとことん向き合い安楽を意識することで,患者の状態と同調する》《患者の過去や将来を踏まえて現在の状態を看る》《一つひとつのケアから安楽を紡ぐ努力をする》,そして《患者が発する反応の変化から安楽を感知する》の5個のカテゴリーが見出された.クリティカルケア看護領域におけるcomfortに対する看護師の構え,comfortに向けたケア,そしてcomfortに向けたケアの評価という一連の流れを示すことができた.

  • 伊藤 美智子, 明石 惠子
    原稿種別: 研究報告
    2020 年 16 巻 p. 65-72
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/11/21
    ジャーナル フリー

     救急・集中領域で終末期を迎える患者の看護を行う中堅看護師の学習ニーズを明らかにすることを目的とし,救急・集中領域の中堅看護師を対象に,半構造化面接を実施した.得られた内容は質的記述的に分析した.その結果,学習ニーズとして【患者の症状緩和】【患者の尊厳を守る方法】【精神状態に合わせた具体的な家族ケア】【家族が求める終末期看護】【終末期に多職種でかかわる方法】【議論で得た知見を終末期看護に活かす方法】【知識と経験を終末期看護に活かす方法】の7カテゴリが生成された.本研究の結果から,中堅看護師の集中・救急領域で終末期を迎える患者への看護の学習内容に関するのニーズは,患者への看護,家族への看護,チーム医療の推進に分類された.また,学習方法に関するニーズは,実践に活かしやすい方法があげられた.これらのことから,知識をもつだけでなく,自身が臨床で活用できる実践的な内容を求めていることが明らかとなった.

  • 鶴見 幸代, 中村 美鈴, 佐藤 幹代
    原稿種別: 研究報告
    2020 年 16 巻 p. 73-84
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/12/09
    ジャーナル フリー

     本研究は,除細動器付き植込み型心臓デバイスの新規植込み術を受けた入院中の患者が退院前に社会復帰に向けて抱く不確かさを明らかにすることを目的とした.デバイスの新規植込み術を受けた患者8名を対象とし,半構成的面接法で得たデータをKrippendorffの内容分析(1980/1989)を参考に分析をした.不確かさは【デバイスとともに過ごす生活のイメージが湧かない】などの10のカテゴリが抽出された.不確かさには,常にすべての不確かさの根底にあるデバイスを植え込んでもなお脅かされる生命に関連した不確かさと,漠然とした社会復帰への不確かさ,具体的な社会復帰への不確かさの3つに大別され,【デバイスへの電磁波の影響が気がかりである】はデバイスを新規で植え込んだ入院中の患者に特徴的な不確かさと考察された.社会復帰に向けて不確かさを抱く入院中の患者への看護実践として,デバイスを植え込んだ患者同士のソーシャルサポートや,信頼できる医療者からの情報提供が不確かさの軽減に重要である可能性が示唆された.

  • 松岡 志織, 水野 敏子
    原稿種別: 研究報告
    2020 年 16 巻 p. 94-103
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,ICUに入室した後期高齢者の入室中の体験を記述することで,看護支援の示唆を得ることである.13名に半構成的面接を行い,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(Modified Grounded Theory Approach;M-GTA)を基に質的記述的に分析した.
     ICU入室中の体験は11カテゴリーが生成され,【現実世界への帰還】から始まり,【生きている実感】【非現実的なところに救いを求める】【命の危険が大きな場所】【現実感覚のつかめない時間】があった.麻酔の覚醒とともに【看護による心身の救済】を感じ,安心感から【手探りの対処】【予測して対処】を行い,【ICU社会への関心の広がり】【人生の振り返り】と広がっていった.これらを支えていたのは,【どのような状況になろうともなるようになる】という生き方であった.
     非現実的な語りがあるものの恐怖体験はなく,抑うつや不安を示すような語りはみられなかった.後期高齢者が半覚醒のときから安心が得られ,【予測して対処】することが促進できるよう援助していく必要がある.

  • 菅原 美樹, 中村 惠子
    原稿種別: 研究報告
    2020 年 16 巻 p. 104-113
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

     クリティカルケア看護専門看護師の直接ケアコンピテンシーを文献およびフォーカス・グループ・ディスカッション(FGD)を用いて明らかにした.結果,直接ケアコンピテンシーは,看護過程の展開に関するコンピテンシー群に【回復の可能性を見通した包括的なアセスメント】【批判的思考による問題の特定と優先順位づけ】【多角的視点による目標の設定】【分析的な思考と判断による最適なケア計画の立案】などを含む8カテゴリ,役割を遂行するコンピテンシー群に【さまざまな倫理的問題に対処するための調整】【最適なケア提供に向けた人的・物的環境の調整】【患者の転帰を最適化する教育的支援】【研究成果の吟味と活用】を含む5カテゴリ,実践を促進するコンピテンシー群は【多職種連携を促進するリーダーシップ】【相互理解・相互関係を深化させるコミュニケーション】【研鑽による専門的実践の維持・向上】の3カテゴリが生成された.

  • 川島 徹治, 田中 真琴, 川上 明希
    原稿種別: 研究報告
    2020 年 16 巻 p. 122-130
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

     本研究は,集中治療領域での終末期患者とその家族に対するインフォームドコンセント(informed consent;IC)における看護師の各実践の難易度を検討することを目的とした.50名のエキスパート看護師(回収率:90.9%)を対象に,3ドメイン(ICの準備,ICの実施,IC後の支援)65項目からなる実践リストの各項目について,9段階リッカートスケールを用いて難易度(1:全く難しくない~9:とても難しい)を尋ねる質問紙調査を行った.難易度は回答の中央値と平均値により判断し,中央値6以上の項目を難易度が高い実践と判断した.調査の結果,各実践の難易度では中央値8以上の項目はなく,中央値7の項目が4項目(6.2%),中央値6の項目が2項目(3.1%)であった.難易度が高い項目は個人の高いコミュニケーションスキル,他者との協力と協調スキルが求められる実践であった.

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