2020 年 16 巻 p. 54-64
本研究の目的は,急性・重症患者看護専門看護師が患者のcomfortに向けたケアにかかわる体験を明らかにすることである.質的記述的研究方法を用いて,急性・重症患者専門看護師11人に半構造化インタビューを行い,帰納的に分析した.その結果,《そもそも苦痛があるなかで,安楽のためのかかわりが十分にできない》《人としてとことん向き合い安楽を意識することで,患者の状態と同調する》《患者の過去や将来を踏まえて現在の状態を看る》《一つひとつのケアから安楽を紡ぐ努力をする》,そして《患者が発する反応の変化から安楽を感知する》の5個のカテゴリーが見出された.クリティカルケア看護領域におけるcomfortに対する看護師の構え,comfortに向けたケア,そしてcomfortに向けたケアの評価という一連の流れを示すことができた.