2023 年 19 巻 p. 134-143
本研究は,クリティカルケア領域における熟練看護師が行う,患者に安楽をもたらすケア実践について明らかにすることを目的とした.クリティカルケア領域にて7年以上臨床経験のある看護師8名に半構造化インタビューを実施し,質的記述的に分析した.熟練看護師は,【患者の身体の観察により直接的に得られる指標】【患者から発せられる指標】【機器類より得られる指標】をもとに患者の安楽を判断し,ケアに繋げていた.安楽なケアは,【先を見据えた対応で苦痛を最小限にする】【避けられない苦痛を極力抑えて乗り越えられるよう整える】【非日常の中に安心できる時間をつくる】【真の気持ちに寄り添う】の4つのカテゴリで構成された.集中治療による避けられない身体・心理的苦痛を前提とした中で,いかに苦痛を最小にし,最善に整えるかという視点がクリティカルケア領域における安楽なケア実践の特徴として示された.