日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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原著
インプラントのチタン製アバットメントスクリューの破折危険因子に関する検討
安東 史子中村 典正新村 弘子永澤 栄川原 一郎岡藤 範正安東 信行土屋 総一郎松山 雄喜岡﨑 耕典黒岩 昭弘
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2015 年 35 巻 1-2 号 p. 20-30

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抄録

チタン合金製アバットメントスクリュー破折の原因および物理的因子や環境因子について検討した.破折したアバットメントスクリュー破断面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像の観察,三次元有限要素法による応力解析,および口腔内類似環境下において腐食反応実験を行った.アバットメントスクリューの破断面には,腐食孔と疲労破壊の様相が認められ,表面にS などの付着物が検出された.三次元有限要素法では,インプラントの上部構造物辺縁隆線部に垂直方向へ応力を負荷させた場合に,破折部位と同一部位に応力集中が認められた.また,腐食試験では,チタン合金板(Ti-6Al-4V)に応力を負荷し,37℃の硫酸ナトリウム(Na2SO4)水溶液,生理食塩水,無負荷板を Na2SO4 水溶液に浸漬した.浸漬期間は1 週間,2 週間,3 週間,4 週間とした.その後,SEM 観察とエネルギー分 散型エックス線分析(EDS)による元素分析を行ったが,すべての試験片で孔食などの腐食所見は見られなかった.破折の原因は,腐食環境下にて,腐食孔を起点とした疲労破壊と考えられるが,孔食の原因は特定できなかった.

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© 2015 特定非営利活動法人 日本顎咬合学会
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