解剖学的・形態学的に正常な咬合が機能的にも正常であるとは限らない.今回,咬合治療を行ううえで形態分析とともに咀嚼能力を定量的に計測し,評価基準とするシステムについて報告する.まず,咀嚼障害を自覚していない有歯顎者10 名の各種形態分析と機能分析を行い,咀嚼能力を評価した.続いて,咀嚼障害を主訴に来院した咬合再構成を必要と診断した患者に対し,同様の分析を治療前後で行い咀嚼能力を評価した.治療前後での分析値の比較により,咀嚼能力の高低および改善程度を数値化することができた.患者が求める“嚙み心地の良い咬合”は,主観的な感覚であるが,咀嚼能力を定量的に分析し,可視化する臨床的意義は大きいと考える.