2024 年 43 巻 2 号 p. 121-
咬合再構成において,上下顎歯列の近遠心的位置関係がアングルII 級では前歯の水平被蓋が過剰,アングルIII 級では不足していることが多く,アンテリアガイダンスの獲得が困難である.アンテリアガイダンスのメカニズムが正常に働き,側方運動時に臼歯部にディスクルージョンをもたらしているか否かは機能を考えるうえできわめて重要である.アンテリアガイダンスが不適切な場合,顎関節への負担や歯の摩耗を引き起こす可能性が高く,歯列全体の長期的維持が望めない1).口腔衛生状態が劣悪な広汎型重度慢性歯周炎を伴った39 歳男性の骨格性II 級症例において,プラークコントロールの顕著な改善を得て戦略的抜歯と補綴歯科治療を併用し,良好なアンテリアガイダンスを伴う機能的で審美的な歯と歯列を獲得できた.【顎咬合誌 43(2):121-131,2024】