日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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原著
エックス線を用いたインターナルインプラント印象時の誤差に関する検討
金城 朝尚小澤 万純飯塚 奈々堀内 康志齋藤 大嵩河方 知裕高野 安紀子松田 哲
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2024 年 43 巻 3 号 p. 238-

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抄録

インプラント補綴の長期維持安定には上部構造の適合精度が重要である.今回,インプラント補綴の上部構造製作にあたって,精度の高い印象を採得することを目的にデジタルエックス線を用いて,インプラント印象時にインプラント体と印象用コーピング(以下:複合体)間に間隙を人工的に形成したものと間隙無しのものを比較して誤差を検討した.デジタルエックス線を用いたインプラント印象時の誤差を計測するにあたり,印象用コーピング-インプラント体間に厚さ 50 µm,100 µm の間隙を人工的に形成した複合体と間隙無しの複合体を用意し,プラスチック板に固定した.エックス線管の角度を固定した複合体からプラットホームに対し水平方向から 0°から 25°まで変化させながら照射した.センサーは CCD (Charge-Coupled Device)方式と IP (Imaging Plate)方式を使用し比較した.間隙の描出限界は IP よりも CCD の方が優れる傾向にあった.照射角度をつけた場合,IP では間隙の認識に照射角度を変化させたことによる影響は認められなかった.CCD では,15°以内からの照射であれば間隙の識別に影響は認められなかった.15°以内からの照射であれば CCD は IP より間隙の認識には優れる傾向にあったが,20° 以上の角度がつくと結果が IP より劣った.CCD では照射角度が大きくなるほどに間隙の認識が困難となった.エックス線を用いたインプラント体 - アバットメント間の適合確認を的確な照射角度から行い,生じる誤差を減少させることが重要である.【顎咬合誌 43(3):238-244,2024

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