日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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最新号
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総説
  • 坪田 有史
    原稿種別: 総説
    2024 年 43 巻 3 号 p. 225-
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/03/27
    ジャーナル フリー

    間接法による歯冠修復物や補綴装置の接着は,形態や機能回復のみならず歯の延命や疾病予防につながる多くの効果がある.修復物の装着での接着性は,接着性レジンセメントに対して支台歯サイドと修復物サイドの2つの接着面,そしてレジンセメント自体の物性に影響される.支台歯サイドの接着面は,ケースによってエナメル質,象牙質,金属,コンポジットレジンなどが対象となる.他方,修復物サイドの接着面は,金属(貴金属,非貴金属),セラミック系(ガラス,ジルコニア),レジン系では,コンポジットレジン, CAD/CAM 冠用材料,さらにPEEK 材など,接着の対象は多種多様である.それらの材料の接着面への考慮が必要である.【顎咬合誌 43(3):225-230, 2024

  • 越智 守生, 仲西 康裕 , 廣瀬 由紀人
    原稿種別: 総説
    2024 年 43 巻 3 号 p. 231-
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/03/27
    ジャーナル フリー

    熱,圧力,音波,電磁波,および電流による生体物理学的刺激は,機能不全の回復,痛みの軽減,組織の治癒をもたらす.筆者らの研究グループは,生物物理学的刺激によって口腔インプラントの治療期間が大幅に短縮される可能性があるという仮説を立て,1990 年頃にこの新しい研究を開始した.筆者らが 30 年以上にわたり行ってきたいくつかの研究は,パルス電磁場刺激 ( 以下,PEFM),容量結合型電場刺激法( 以下,CCEF),低出力パルス超音波刺激( 以下, LIPUS) は,一般的な条件よりも早期にオッセオインテグレーションを達成する可能性を示した.多施設臨床研究による早期負荷インプラントに対するLIPU は比較的良好な臨床結果を得た.したがって,LIPUS は 1 日あたり15 ~20 分の比較的短い施行で骨形成において良好な結果を達成できる生体物理学的刺激方法であると いえる.【顎咬合誌 43(3):231-237,2024

原著
  • 金城 朝尚, 小澤 万純, 飯塚 奈々, 堀内 康志, 齋藤 大嵩, 河方 知裕, 高野 安紀子, 松田 哲
    原稿種別: 原著
    2024 年 43 巻 3 号 p. 238-
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/03/27
    ジャーナル フリー

    インプラント補綴の長期維持安定には上部構造の適合精度が重要である.今回,インプラント補綴の上部構造製作にあたって,精度の高い印象を採得することを目的にデジタルエックス線を用いて,インプラント印象時にインプラント体と印象用コーピング(以下:複合体)間に間隙を人工的に形成したものと間隙無しのものを比較して誤差を検討した.デジタルエックス線を用いたインプラント印象時の誤差を計測するにあたり,印象用コーピング-インプラント体間に厚さ 50 µm,100 µm の間隙を人工的に形成した複合体と間隙無しの複合体を用意し,プラスチック板に固定した.エックス線管の角度を固定した複合体からプラットホームに対し水平方向から 0°から 25°まで変化させながら照射した.センサーは CCD (Charge-Coupled Device)方式と IP (Imaging Plate)方式を使用し比較した.間隙の描出限界は IP よりも CCD の方が優れる傾向にあった.照射角度をつけた場合,IP では間隙の認識に照射角度を変化させたことによる影響は認められなかった.CCD では,15°以内からの照射であれば間隙の識別に影響は認められなかった.15°以内からの照射であれば CCD は IP より間隙の認識には優れる傾向にあったが,20° 以上の角度がつくと結果が IP より劣った.CCD では照射角度が大きくなるほどに間隙の認識が困難となった.エックス線を用いたインプラント体 - アバットメント間の適合確認を的確な照射角度から行い,生じる誤差を減少させることが重要である.【顎咬合誌 43(3):238-244,2024

症例報告
  • 梶川 聖太
    原稿種別: 症例報告
    2024 年 43 巻 3 号 p. 245-
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/03/27
    ジャーナル フリー

    “歯内療法の三種の神器”と呼ばれる「歯科用CBCT」,「マイクロスコープ」,そして「Ni-Ti ファイル」を駆使することで,歯内療法の成功率が格段に向上するようになったのは大きな福音といえるだろう.それに加えて,術前の診査診断の精度向上,無菌的環境下における基本的なプロトコルの遵守により,歯内療法の精度は格段に向上する.今回は,AAE(American Association of Endodonntists)のガイドラインに準じて診断し,歯髄保存を行った症例,歯内- 歯周病変に対して歯内療法を行った症例の2 症例を提示させていただく.これらの症例を通して,基本的な手技を再確認しながら一本の歯の保存にこだわった治療を報告したい.【顎咬合誌 43(3):245-250, 2024

  • 負門 直樹
    原稿種別: 症例報告
    2024 年 43 巻 3 号 p. 251-
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/03/27
    ジャーナル フリー

    重度ガミースマイル患者にアライナー矯正・歯冠長延長術を用いることにより良好な治療結果を得たので報告する.患者は26 歳,女性,ハイスマイル時の歯肉の露出を主訴として来院した.ハイスマイル時の歯肉の露出量は約 7 mm,過大なオーバーバイトを有し受動的萌出不全を呈していた.矯正治療により,前歯を傾斜移動させた.相対 的な圧下量を2 mm,その後歯軸方向への絶対的圧下量を1 mm 行った.顔貌の再評価を行い,再度矯正の微修正を行った.矯正治療の後,再度顔貌の再評価を行った.CT と模型より歯肉の切除量を決定し,歯冠長延長術を行った.主訴であるハイスマイル時の歯肉の露出は改善され良好な結果が得られた.【顎咬合誌 43(3):251-257, 2024

  • 宇根岡 大典
    原稿種別: 症例報告
    2024 年 43 巻 3 号 p. 258-
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/03/27
    ジャーナル フリー

    咬耗症に対して行った咬合再構成について報告する.【症例概要】75 歳,男性.主訴は入れ歯が合わなくて痛い.前歯がすり減っているのが気になる.所見:上顎左側臼歯部欠損部に部分床義歯が入っており,その他欠損部はブリッジにて補綴をされているが,不適合で2 次う蝕が認められる.また上下顎前歯部には歯冠1/2 程度に及ぶ摩耗が認められる.【治療方針・治療経過】前歯部モックアップを基準に臼歯部プロビジョナルレストレーションにより咬合挙上を行い,機能的に問題ないことを確認後,臼歯部欠損部にインプラントを埋入し咬合再構成を行った.【考察】咬合崩壊などの重大な問題のない高齢者において,大幅な口腔内の変化を伴う治療の是非は慎重に検討しなければならない.とくに,患者自身がその変化に適応できるかが問題となる.そこで,前歯部の天然歯を削合することなく,口腔内で直接法にて装着したモックアップにて確認することにより,最小限の咬合挙上量を決定した.この方法により,歯質の削除量も最少限にできた.【顎咬合誌 43(3):258-265,2024

  • 池内 有香 , 吉田 忠史
    原稿種別: 症例報告
    2024 年 43 巻 3 号 p. 266-
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/03/27
    ジャーナル フリー

    不正咬合を呈する混合歯列期小児患者を正しい咬合育成へと導くためには不正咬合に至った経緯を知り原因を除去することが重要である.その方法の1 つとして口腔筋機能療法(MFT)が有用であると考えるが,その可能性と限界を,症例を通して考察した.口腔筋機能療法(MFT)により成果が認められた小児患者には機能や形態以外にも一定の共通点があることが分かった.矯正歯科医学的に正確な診査,診断ができている前提で更に歯科衛生士の立場で多角的な情報収集を行うことが咬合育成における口腔筋機能療法(MFT)の可能性を高める事に繋がると考える.【顎咬合誌 43 (3):266-273,2024

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