日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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症例報告
咬耗症に対して行った咬合再構成
宇根岡 大典
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2024 年 43 巻 3 号 p. 258-

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抄録

咬耗症に対して行った咬合再構成について報告する.【症例概要】75 歳,男性.主訴は入れ歯が合わなくて痛い.前歯がすり減っているのが気になる.所見:上顎左側臼歯部欠損部に部分床義歯が入っており,その他欠損部はブリッジにて補綴をされているが,不適合で2 次う蝕が認められる.また上下顎前歯部には歯冠1/2 程度に及ぶ摩耗が認められる.【治療方針・治療経過】前歯部モックアップを基準に臼歯部プロビジョナルレストレーションにより咬合挙上を行い,機能的に問題ないことを確認後,臼歯部欠損部にインプラントを埋入し咬合再構成を行った.【考察】咬合崩壊などの重大な問題のない高齢者において,大幅な口腔内の変化を伴う治療の是非は慎重に検討しなければならない.とくに,患者自身がその変化に適応できるかが問題となる.そこで,前歯部の天然歯を削合することなく,口腔内で直接法にて装着したモックアップにて確認することにより,最小限の咬合挙上量を決定した.この方法により,歯質の削除量も最少限にできた.【顎咬合誌 43(3):258-265,2024

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