2001 年 21 巻 3 号 p. 298-303
一般に, 中心位は咬合採得や咬合調整を行ううえでの基準となる下顎位として知られているが, 開口筋や閉口筋のみならず表情筋の緊張もその位置に影響を及ぼす.そこで, 表情筋が中心位に及ぼす影響を検討する目的で, 被験者として顎口腔系に異常を認めない健常有歯顎者3名を選択し, 中心位から口角部を後方へ牽引した状態に表情筋を緊張させ, その際生じる顆頭位の変化をナソヘキサグラフを用いて測定し, 検討した.その結果, 表情筋の緊張により下顎位は後上方へ偏位する傾向を示した.