日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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咬合力のコントロールその3かみ癖の矯正
石幡 伸雄野村 義明水谷 紘
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2005 年 25 巻 1-2 号 p. 90-104

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抄録
咬合力をコントロールすることが顎口腔系を健全に保つことにつながると言われている.しかしながら, 顎口腔系の如何なる力に対応すべきかがこれまで明確にされていなかった.われわれはかみ癖というもの注目して, かみ癖に由来する咬合力をコントロールすべき力であると考えた.かみ癖による力は生理的な力ではあるが, この力の存在のために健常とされる顎口腔系においても, 歯列上の負荷の加わり方が均等ではなく大きく異なっている.そして, この歯列上における負荷の不均一性を生じさせるかみ癖をコントロールしなければ, 咬合力のコントロールはできない.そのことは, かみ癖側の下顎頭に加わる後上方への力を除去しなければならないということを意味する.すなわち, 蝶番運動を主体とするのではなく, 滑走運動を主体とする下顎の運動を行うことが, 後上方への力を除去することに通じる.
今回はそれらの事実をふまえて, 咬合力をコントロールするための基本となる考え方, ならびにかみ癖の矯正法について述べた.
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