日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
研究報告
看護者対対象者の2者関係に基づく地域生活集団を対象とした看護モデルの開発
─活動事例における保健師の考え方と働きかけの明確化および看護モデルの前提となる考え方の検討─
松下 光子梅津 美香大井 靖子堀 里奈山田 洋子山本 真実
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2023 年 26 巻 1 号 p. 59-68

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抄録

目的:看護者対対象者の2者関係に基づいて保健師活動を説明する看護モデルの開発を目指して,活動事例における保健師の考え方と働きかけを明らかにし,モデルの前提となる考え方を検討することである.

方法:4つの活動事例について,実践した保健師への聞き取り,4事例中2事例は保健師が働きかけた対象者への聞き取りも行った.その内容をもとに,当該活動での保健師の判断,働きかけ,対象者の反応,2者関係の変化を構造図に示した.図の作成を通して看護者対対象者の2者関係に基づいて活動展開を説明しようとした際に確認できた保健師の考え方と働きかけを記述し,その内容を分類整理した.

結果:保健師の考え方と働きかけは,34項目抽出され,「保健師は,目の前にいる1人の住民だけでなく,家族単位で対象を捉えている」等18の分類,さらに,【対象者の捉え方と対象者との関係に関すること】【保健師と対象者との関係からみた活動の展開に関すること】【保健師間の関係に基づく活動の展開に関すること】【活動展開における保健師の判断に関すること】の4大分類に整理された.

考察:看護者対対象者の2者関係に基づいて保健師活動を説明するとき,対象者を家族や所属組織,住民同士のつながり等の人と人との関わりのなかにいる人と捉えることや,健康課題解決のための仕組みづくりを関係者1人ひとりの変化と関係の変化として理解すること等が前提となる考え方になる.

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© 2023 一般社団法人 日本地域看護学会
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