日本地域看護学会誌
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在宅療養中の終末期がん患者の思い : 3例の終末期がん患者を通して
安井 真由美海老 真由美村山 正子
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2004 年 7 巻 1 号 p. 49-54

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抄録
本研究は,在宅療養中の終末期がん患者の思いを,患者の視点に立って探求することを目的とした.方法論としてエスノナーシングを用いた.3名の在宅療養中の終末期がん患者を主要情報提供者とし,2名の家族,3名の訪問看護師,2名のヘルパーの計7名を一般情報提供者とした.得られたデータを分析した結果6つのテーマが抽出された.テーマ1:患者はさまざまな手段を用いて,生き抜いていこうと思っている.テーマ2:患者は,生きたい,でも死を受け入れざるをえないと葛藤を繰り返し,葛藤の中の受容のときに死の準備をしている.テーマ3:患者は,病院と自宅を比較し,自宅での今までどおりの普通の生活を求め,普通の人と同じように接してもらいたいと思っている.テーマ4:患者は,何らかの役割をもつことにより,社会的存在としての意味を探索している.テーマ5:患者は,自宅でも何らかの医療を受けざるをえない状態であると認識している.テーマ6:他者の援助が必要である患者は,他者と受け身な関係をもつことにより,その関係を継続しようとしている.以上6つのテーマから,テーマ1を核として大テーマを導き出した.大テーマ:在宅療養中の終末期がん患者は,療養者である自分を受け入れながら,普通の人として社会に存在することを望み,最期まで自宅で生き抜いていこうと思っている.以上のことから,終末期がん患者が在宅療養をするということについて考察し,看護への示唆を得た.
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© 2004 一般社団法人 日本地域看護学会
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