日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
在宅ケア利用者のアウトカムに影響するケアマネジメント要因 : ケアマネジャーの職種別比較を通して
島内 節森田 久美子友安 直子
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2005 年 7 巻 2 号 p. 21-26

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抄録
目的:在宅ケアを利用している高齢者のアウトカム改善に影響するケアマネジメント要因を探るために,ケアマネジャーの職種別に担当事例のアウトカム改善率とケアマネジメントの業務実施内容と実施率等を比較し,効果的なケアマネジメントのあり方を検討した。方法:各ケアマネジャーは2001年10月〜12月の要支援から要介護5までの6事例をセットとし,2カ月間のケアの前後2回のアセスメント(アウトカム測定指標)と,この間のケアマネジメント業務実施内容の調査を行った。ケアマネジャー64名(看護職29,福祉職24,その他職11),利用者384事例を分析対象とした.結果:利用者のアウトカム36項目中,有意差はないが職種間で相対的にケア後にアウトカム改善率が高かった項目数は,看護職は18項目で,特に「症状と健康状態」の改善項目が多かった.アウトカム改善が多くの項目にみられた看護職はケアマネジメントにおいて説明・同意の実施率が有意に高く,サービスとして訪問介護・訪問看護・通所介護・通所リハビリテーションを幅広く26〜45%の利用者に提供していた.アウトカムが低かった他職種は訪問介護と通所介護に集中して50〜61%の利用者に提供していた.ケアマネジメント業務について利用者による実施の認識率と満足度は18項目すべてに有意相関がみられた.結論:アウトカム改善に有効なケアマネジメントとして医療ニーズの多い事例は看護職が担当するなどケアマネジャーの専門性を生かすこと,サービスの種類を事例のニーズに合わせて組み合わせること,利用者への説明と同意を得ること,満足度を高めるにはケアマネジメント業務内容の実施を利用者が認識できるように説明する必要がある.
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© 2005 一般社団法人 日本地域看護学会
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