抄録
本研究の目的は,老人クラブのアセスメント指標作成に向けて,老人クラブの活動性に必要な要素を明らかにすることである.対象者は,愛知県内の3地域(都市部1区,山間部1町,海辺部1町)の老人クラブの会長計24人とした.データは半構成的な個別面接法により収集し,面接内容は帰納的アプローチによる質的記述研究方法により分析した.老人クラブの活動性に必要な要素として,2つの大カテゴリー【メンバーの意識・行動】【組織の機能】が抽出された。さらに,その下位カテゴリーとして5つの中カテゴリー,15のカテゴリー,66のサブカテゴリーが抽出された.【メンバーの意識・行動】の中カテゴリーとして《会員の積極性》《役員の協力》《会長のリーダーシップ》が抽出され,これら3つのカテゴリーは相互に影響し合うと考えられた.【組織の機能】の中カテゴリーとしては《活動・運営方法》《他の組織との関わり》が抽出された.【メンバーの意識・行動】は老人クラブの活動性にとって基本的要素であり,【組織の機能】に影響力をもつと考えられた.すなわち,会員・役員・会長の3者のメンバーが積極的に活動・運営に参加することにより,老人クラブは組織として効果的に機能するようになる.本研究では,地域や活動・運営状況が異なる老人クラブから,活動性に必要な共通の要素が抽出された.この結果は,老人クラブのアセスメント指標の作成に資すると考える.