学級経営心理学研究
Online ISSN : 2434-9062
学ぶ環境を創造するエンゲージメント研究の動向と展望
―特別活動に着目した一考察―
若松 美沙若松 昭彦
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 10 巻 1 号 p. 65-78

詳細
抄録
本稿は,教育現場で課題とされる子ども主体の学びを支える教育環境を創造するために,近年着目されているエンゲージメント研究の動向を整理し,今後の展望を考察することを目的とした。具体的には,海外のエンゲージメント研究の動向について,意義や重要性,動機づけとの関連,文脈の影響,サブタイプ,機能の観点から整理するとともに,我が国のエンゲージメント研究の動向として,教科関連研究,心理学関連研究,教育学関連研究を中心に概観した。結果から,学ぶ環境として,①学習者の興味・関心の喚起や価値の実感,②協同学習での他者との積極的な関わりや明確な役割分担がエンゲージメント促進につながるという研究成果が見出された。一方,子どもの学級での生活を対象にしたエンゲージメント研究の進展が課題とされた。そのため,子どもが自分たちの力で学級での生活を創るという特質をもつ特別活動が,エンゲージメント研究の進展に貢献する可能性があることが示唆された。
著者関連情報
© 2021 日本学級経営心理学会
前の記事
feedback
Top