本研究では,先行研究ではほとんど取り上げられてこなかった,大学職員が通常業務を「上手に」遂行することに着目し,あらゆる大学で日常的に発生する「学生対応業務」を題材として,具体的にどのような業務行動をとることが,「上手な」業務遂行であるのかを探索的に検討した.学生対応業務の具体的なケースを作成し,12名の若手・中堅大学職員へのインタビュー調査を通じて実際の対応を逐語録化したデータを収集した.続いて,5名の理事・管理職級教職員に,それらの対応について評価してもらい,その評価データを収集した.両データを分析した結果から得られた主要な知見は以下のとおりである.
第一に,高評価の対応には,「学生の希望を叶えるための方策を模索する」という業務行動が含まれていた.これは,評価者から「学生への助言を提供する」業務行動と捉えられていた.第二に,学生対応の「上手な」業務行動として,正確な情報を提供する行動と,相手の不安を解消する行動が抽出された.そして,前者は大学職員としての経験を積めば可能になるが,後者が可能になるには,教務分野の業務を実際に経験する必要があることが示唆された.