支援対話研究
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日本のコーチに対するウェブ調査:コーチの現状と展望
西垣 悦代
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ジャーナル オープンアクセス

2014 年 2 巻 p. 4-23

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抄録

本研究はコーチングを主たる職業としている人、およびコーチングを仕事の中で生かしている人を対象に質問紙調査を実施し、日本のコーチの現状を把握することを目的として行った。コーチングの学習歴、資格、所属コーチ団体、コーチングの活動歴、得意分野、コーチのコア・コンピテンシーに対するセルフエフィカシー、心理学の学習経験、などについて選択式回答形式の質問紙を作成し、委託先の社会調査会社のウェブ上で公開した。データを収集は2014年1月より9週間の間行った。  協力を得られた478名中、独立開業のコーチ、コーチング会社経営または社員などコーチングを職業とする人が195名、仕事の中でコーチングを活用していると回答した人が187名あり、これらを「職業コーチ」「職務内コーチ」として比較を行った。結果より、職業コーチと職務内コーチの間には性別や学歴に差がない一方、コーチとしての教育歴、資格保有率、団体加入率、経験年数、活動時間、コーチとしての収入には統計的有意な差があり、いずれも職業コーチが職務内コーチを上回っていた。しかし職業コーチの経験年数は10年未満の人が70%以上を占めており、コーチ資格を持たない人やコーチ団体に所属していない人もいた。世界のコーチングの潮流として、エビデンスに基づく実践が重視される中、日本でもコーチが専門職(プロフェッション)として確立されるために目指すべき方向性が見出された。

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2014 一般社団法人日本支援対話学会
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