2022 年 16 巻 p. 137-144
大学が遠隔授業を余儀なくされ,各大学が大変な苦労をして対応したのが実情であろう。しかし,遠隔授業が対面授業の代替え手段と捉えているだけでは,既存の固定観念にとらわれ,大学・高校のあり方を考え直す良い機会を逃すことになる。本報告では,最初に基礎教育課程数学の遠隔授業を通して見えてきた遠隔授業全般にわたる問題点を指摘する。次に,遠隔授業の実施にあたり,どのような教育理念をもって授業を展開したかについて報告する。その理念のもとで行う遠隔授業を通して,日本の教育のあり方にも言及し,日本の大学・学校が学びの場として本来の役割に回帰する必要性を述べていく。