日本糖尿病教育・看護学会誌
Online ISSN : 2432-3713
Print ISSN : 1342-8497
ISSN-L : 1342-8497
原著
成人期発症1型糖尿病患者におけるセルフケア能力に関連する心理・社会的要因
中島 啓子安東 由佳子
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 25 巻 1 号 p. 83-92

詳細
抄録

本研究の目的は,成人期発症1型糖尿病患者のセルフケア能力に関連している心理・社会的要因を明らかにすることである.成人期に1型糖尿病と診断された患者98名を対象に,無記名の自記式質問紙調査を実施し,セルフケア能力と,病気の不確かさ,首尾一貫感覚(SOC),家族サポートとの関連を共分散構造分析で解析した.有効回答者数は92名であった.分析の結果,セルフケア能力に関連する要因は,家族サポート,病気の不確かさの下位尺度<情報解釈の複雑性>,SOCであった.また,セルフケア能力には,家族サポートと病気の不確かさの下位尺度<闘病力への自信の揺らぎ><生活予測不能性>から,SOCを介した間接効果も認められた.家族サポートからセルフケア能力への直接効果と総合効果が,他のパス係数と比較して高値であったことから,家族サポートがセルフケア能力に及ぼす影響が大きいと考えられ,家族によるサポートを支援する看護ケアの重要性が示唆された.

著者関連情報
© 2021 一般社団法人 日本糖尿病教育・看護学会
前の記事 次の記事
feedback
Top