日本暖地畜産学会報
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総説
畜産におけるバイオセキュリティ
津田 知幸
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ジャーナル オープンアクセス

2012 年 55 巻 2 号 p. 93-99

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抄録

近年の国内畜産の規模拡大は生産性の向上をもたらす一方で、伝染病などの家畜疾病による被害が増大するというリスクをはらんでいる。また、近隣諸国における家畜伝染病の多発はわが国への病気の侵入リスクの増大をもたらしており、口蹄疫の発生を機に改正された家畜伝染病予防法では国の防疫対策の強化とともに農場における衛生対策の強化も求められた。畜産先進国においては農場段階での病気の侵入防止は農場バイオセキュリティとして畜産経営の一部となっており、衛生対策の観点からばかりでなく、消費者に対して安全な畜産物を提供する手段ともされている。農場バイオセキュリティを実行するためには、感染症の成立要件である感染源、伝播経路および動物に対する対策を適切に組み合わせて実施する必要があり、これを着実に実施することが今後の健全な畜産の発展のカギになると考えられる。

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© 2012年 日本暖地畜産学会
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