2016 年 16 巻 10 号 p. 10_105-10_126
大阪平野の沖積地盤における、土木構造物の地震応答解析の実施にあたり、工学的基盤面設定の妥当性を検証する。骨子は次のとおりである。まず、沖積地盤における工学的基盤を、土木構造物の設計で堅固な地盤とされる、S波速度Vsが300m/s程度に相当する地層とする。次に、大阪平野の沖積地盤は、沖積層の下層にVsが300m/s程度以上の洪積砂礫層とそれ以下の洪積粘土層が互層を形成していることから、大阪平野の沖積地盤を代表していると考えられるいくつかの地点を選定し、それぞれの地点で1次元非線形地震応答解析を実施する。既往の研究において工学的基盤として示されている洪積砂礫層(Dg2層)の上端と併せ、その下層のVsが300m/s程度以下の洪積粘土層下端の基盤面に、それぞれ地震波を入力して、地表面の最大加速度や最大せん断ひずみの深度分布等がどうなるのかを検証し、土木構造物の耐震性能を検討する上で、既往の研究で提案されている工学的基盤面を評価する。