2017 年 17 巻 5 号 p. 5_48-5_59
2011年東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)の発生後,津波が繰り返し来襲したことにより多数の橋梁が甚大な被害を受けた.これによって道路網が寸断され,現地調査による早期の被害状況把握が困難となった.このような際,衛星画像は広範囲にわたる被害状況を現地に赴くことなく把握できる点から有用である.とくに合成開口レーダ(SAR)画像は雲や火煙の影響を受けず,昼夜撮影可能であるため緊急対応に適している.本研究では,津波により広範囲が被災した宮城県の沿岸部を対象地域として,発災前後の高分解能SAR画像を用いて,特定の橋梁領域に対して2時期の相関係数に閾値を設定し,被害有無の判別を試みた.その結果を被害報告書における橋梁の被災状況と比較して,本手法の精度と有用性を検討した.