本研究では,2016年熊本地震における益城町の秋津川沿いの倒壊建物の分布を調査した.熊本地震では,Mj6.5の前震とMj7.3の本震が28時間差で発生しており,空中写真を利用して被害の分離を試みた.前震による被害の空間分布は,本震による被害の空間分布と類似しており,倒壊建物の多い地域と少ない地域ははっきりと分かれていて,島のように被害の集中している地域が分布している.益城町中心部に現れた地表断層は,本震の前には確認されていないので,地表断層によってこのような被害のパターンを生成したとは考えにくい.地形分類図との対比から,最も被害の大きかった地域は低位段丘面とよい相関を示していた.また被害集中地域は古くからの集落の場所によく対応しており,明治時代の地形図ではすでに集落が形成されていた.震災の島の生成要因は,表層地盤構造の違いと建物の建築年代の複合であると考えられる.