日本地震工学会論文集
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論文
地震観測記録に基づく地盤増幅率の非線形性のモデル化
池田 孝加藤 研一石田 寛
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2018 年 18 巻 2 号 p. 2_130-2_146

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抄録

線形時の応答スペクトルの地盤増幅率に非線形性の影響を反映させる手法を提示し,地震観測記録に基づいて,弱震時から強震時に増幅率を変換するモデルの関数(モデル関数)を作成した.関数形は,線形時に対する「1次ピークの長周期化」と「増幅率の低減」に分離して考え,各々を有効ひずみの関数とした.まず,2層地盤に模擬地震動(告示波)を入力した地盤応答解析を行い,その結果に基づいてモデル関数を作成した.モデル関数による増幅率と時刻歴逐次非線形波形から直接算定した増幅率の比はほぼ1で安定し,関数形の妥当性が確認された.次に,表層地盤がほぼ2層のK-NET豊里を対象地点,KiK-net東和を岩盤地点とし,それらの観測記録から算定される増幅率に基づいてモデル関数を作成した.本研究のモデル関数を既往研究と比較した結果,1次ピーク周期より短周期側における増幅率の低減は互いに対応した.長周期側は,既往研究で表現されていない1次ピークの長周期化と,それに伴う増幅率の増大が本研究では明瞭に表現されており,設定したモデル関数の有用性が確認された.

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© 2018 公益社団法人 日本地震工学会
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