本論文では,2016年熊本地震における地震動特性と木造住宅の倒壊被害の実態を明らかにするとともに,地震動特性が倒壊被害とどのように関わったかについて考察した.まず,益城町,西原村,阿蘇市の3地域を対象に,観測地震動の分析を行い,熊本地震本震の地震動は約1秒と約3秒の2つのパルス周期をもつことを明らかとした.次に,各地域の木造住宅の倒壊建物分布を示し,熊本地震における倒壊被害の実態を明らかとした.さらに,各地域において倒壊率から最大地動速度PGVを推定し,倒壊被害が甚大であった益城町では推定PGVが150cm/sを超える地域が存在することを明らかとした.最後に,2階建て木造住宅を想定した解析モデルを用いた地震応答解析を行った.その結果,建物の最大応答変形には本震の約1秒のパルス周期が大きく寄与したこと,および,PGVが150cm/sを大きく超えていたと考えれば,木造住宅の倒壊被害を定性的に説明できることを示した.